音響トラップ
 蚊の防除法で有望視されているものに音響トラップ(音のわな)があります。
蚊が飛ぶ時の羽音は雌雄間の会話に用いられ、特にメスの羽音にオスが強く反応します。
蚊の羽音は周波数340〜600ヘルツで、種類によってそれぞれ決まっており、
またメスとオスで違います。
メスの羽音周波数は
      コガタアカイエカ     512ヘルツ、
      シナハマダラカ      340ヘルツ、
      ヒトスジシマカ      512ヘルツ        です。

蚊の聴覚器(耳)は触覚の付け根、梗節(こうせつ)の中にあり、発見者にちなんで
ジョンストン気管と呼ばれています。
この気管には多くの弦音感覚子があり、メスの羽音周波数を受容したオスはメスに
近付き交尾が成立します。
人の広い可聴域に比べてオス蚊の可聴域は狭くてメスの羽音に絞られ、
メスの羽音以外は、ほとんど聞こえないそうです。
防除の標的にする蚊のメスが出す羽音、あるいはそれと同じ周波数の人工音響を
スピーカーから流すと、多数のオスが誘引されて集まるので、粘着材などで能率的に
捕らえることができます。
オスの除去によりメスの受精率を下げるので、次第に蚊の数が減っていきます。
音響トラップはユスリカにも有効です。
小川賢一博士の実験によれば諏訪湖から発生するアカムシユスリカのオスは150
ヘルツの周波数で最も多く捕獲されました。



「イカリ 月間誌   今日のひとこと 8月9日より」